セガBBSの歩み
2001年で5年目を迎えるセガBBS、
その歴史をふり返り現在までの推移を追う

 ◆黎明期◆

 セガ伝言板、通称セガBBSは1996年6月、セガホームページ内のPlanet Cafeの一コーナーとして始動した。
 当時のカテゴリーは「サターン」、「バーチャファイター」、「アーケード」、「カラオケ」、「その他」と、純粋にセガ関連の話をするための掲示板といったラインナップである。
 その後もセガサターンモデムユーザーのための「SSネットワークス」(現在は中止)や「PCソフト」、「サクラ大戦」などセガがらみの掲示板が新設される。
 活動の中心地は目下の所SSBBSであり、セガサターン以外の機種の話題や私信なども適度に交わされるにまったりとした村社会であった。

 ◆話題の多様化◆

 初期のセガBBSではセガ関連以外の話はすべて「その他」で行われていた。今にして思うとかなり無茶な話だが、利用者が増えるにつれ膨大になる書き込みの量と多種多様化する話題に、BBSを細分化するべきという声は少なからず挙がっていた。
 その要望にこたえる形で97年4月、「スポーツ」BBSが新設されたのを皮切りに「映画」、「音楽」、「旅行」など、セガの事業に直接関係無い話題も扱われ始める。
 一般利用者が理解できない会話でBBS内に別世界を形成していたアニメ・マンガファンは「その他」でも「映画」でも疎まれていたが、97年7月に「アニメ」BBSが新設される事によって安住の地を得た。
 特筆すべきは本来セガのサードパーティーのコーナー内に作られていた通称「ゲームソフトBBS」がセガ以外のハードの話題に使われるようになった事である。サターンのサードパーティー作品ならSSBBSで話せるので使い道のなかった掲示板の有効活用とも言えるのだが。ライバル機の話題になると荒れやすいセガBBSに於いておおっぴらにプレステやスクウェアなどの話ができる場所があるというのは革命的であった。(それでも対決の構図が頭にある人はSSBBSに書き込むのだが)
 これらの措置によってセガBBSは単なる「セガのBBS」からゲーム系総合雑談サイトとしての道を歩み始めることになる。

 ◆新システムへの移行◆

「荒らしとケンカはネットの華」とは誰が言い出したのか知らないが、セガBBSではそれが特に顕著であった。セガファンを挑発するように「プレステ最高」などと書き捨てていく掲示板荒らしやスクウェア批判、ギャルゲーマーと自称硬派ゲーマーに二極分化してしまったセガサターンユーザー同士のいさかいは後を絶たない。
 それでもネット人口が少ないうちはメンバーも固定化してため、不毛な話題に対して相互理解や適切な対応を身につける余裕があった。「免疫」のない初心者も徐々に経験を積んで学習していった。管理人も特に酷い書き込み以外は削除せず、ささいな小競り合いは利用者間の自治能力に任されていた。
 しかしユーザーが増えるにつれて自浄作用が間に合わなくなってくる。終わりの無い言い争いが何日も続き、しばらく静かだと思えば新しい顔ぶれで同じ事が繰り返される。血の気の多い利用者は荒らしの格好の遊び相手である。1ページのログは膨大になり読み込みは果てしなく重くなる(初期のセガBBSではページの更新はツリーの数ではなく日付単位で更新していた)。このままの状態でドリームキャストが発売されたらどうなってしまうのか……。現行システムの限界がささやかれる。
 98年8月、度重なる試行錯誤の果てに新システムに移行。
 大きな変更点は発言数によるページ更新と一つのツリーに付けられるレスポンスの数の制限、そしてユーザーを認識するパスワードの導入である。なにやら制約だらけであるが、メールアドレスを登録させることで問題のある利用者の書込みを制限したり、人のハンドルを騙る「偽物」はすぐに見分けが付くようになった。ログが早く流れるため論争が長引くこともなくなり、ページあたりの読み込みが軽くなるなど利点は大きい。
 開放的で牧歌的だった旧時代を忍ぶ声も少なくないが、掲示板の維持自体が危ぶまれている状況では仕方の無い流れなのだろう。

 セガBBSはこの時から大きく変わりはじめる。

 ◆ドリームキャスト発売で何が変わったのか?◆

   言うまでもない事だがドリームキャストにはモデムが標準装備されている。発売後にはより多くの利用者がBBSに集まる事になるだろう。新システムも軌道に乗り、発売日を待つばかりとなったDCBBSでは、「発売おめでとう」のために専用BBSが企画された。
 そして1998年11月27日、発売日を迎えるとページが次々と祝辞で埋まってゆく。ネットに繋いだDCユーザーが掲示板へのとりかかりにすることも多く、企画はなかなかの成功を収めた。
 DC発売後の書き込みの量はビッグバンのごとく増大し続け、一日に5、6ページは楽に更新された。こうなると、BBS本来の特色である非リアルタイム性が薄れ、同時間帯に居合わせたもの同士のやり取りが中心になってしまう。かくして新規ユーザーによるBBSのチャット化が進み、先住者は眉をひそめる事になる。「郷に入りては郷に従え」と言うが、規範となるべきものが無くなっている以上無理はない事態である。
 だからといってこのままでいいはずも無く。各BBS上部に利用規約を明示したり、更新量を緩和するために質問用の「DC教えてBBS」が新設されることになる。

 ◆荒れるツリー、増える規則 〜DCBBSの閉鎖〜◆

 新規ユーザーラッシュがひと段落すると、DCBBSが「普通に」荒れはじめる。それはゲームに関するイデオロギー上の対立であったり、ストレートすぎる感情表現であったりと、基本的には旧SSBBS時代と同じ流れなのであるが今回は規模が違う。純粋にゲームの話を楽しみに来ている新規ユーザーも大勢いるのだ。荒れた状態を放置したままではセガのネット戦略そのものが疑われる。
 そこで今まで良識と常識に任されていた部分が明文化され、論争を引き起こしたり無意味に更新を早めたりするような行為は次々と禁止されていった。論争の禁止、私的発言の禁止、アンケートの禁止、、中古販売に関する話題の禁止など、禁止事項が増えていく。
 そして最も衝撃的だったのが「DCメインBBS」の閉鎖である。理由は分からなくもない。セガの一挙一動に期待よりも悲観的意見が挙がり他のユーザーの不安を煽る。サクラ大戦GBが発表されれば「失望した」と言われる。DCBBSがセガの足を引っ張っている事は傍目にも理解できた。以後、DCソフトウェアBBSに「DCその他のソフト」が新設されソフト以外の話題が禁止となる。
 1999年6月1日、ひとつの時代が終わりを告げた。

 ◆個人ページの台頭◆

 DCBBSの閉鎖に前後して、セガファンのネットライフは以前のような中央集中型ではなく、個人ページを中心とした小規模のコミュニティが都市国家のように分散する形に移行している。気の合う者同士で自由な会話を楽しみたいということだろうか。
 ゲーム話に限らず、じっくりと腰を落ち着けて話をするには小人数のグループの方が向いている。セガ系の個人ページのリンクをたどると最近見なくなった元常連が集まっている集落をいくつか見つける事ができる。セガBBSを中心としたドーナッツ化現象が起きているのである。
 また、チャットやネットゲームでの出会いや、ホームページ制作ブームの時の相互リンクなどセガBBSを介さない仲間作りが活発化していることも見逃せない。

(図1) 中央集中型の社会構造

セガBBSが強力な求心力を持っている頃は
多くのセガユーザーの活動の中心地だった
 → 
(図2) 惑星型のコミュニティの形成

セガBBSを介して知り合ったユーザーが
個人ページの掲示板で草の根的に活動

 ◆これからのセガBBS◆

 現在のDCソフトBBSは更新も1日1ページほどに落ち着いている。意見交換も活発にされているようで、ソフトの話題に限るなら今が理想的な状態なのかもしれない。懐かしい名前もいくつか確認できる。一時期の更新ペースに振り落とされた人は戻ってみてもいいかもしれない。新しい出会いもあるだろう。セガBBSはこれからもネット登竜門としての役割を果たすだろうし、セガユーザーにとって中心地なのである。


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このページの作成に当たってはTKO氏のセガ伝言板の歴史を参考にしました。